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9.カソワリー、エブリディ?




 




 パパが9号室を出て、その辺をうろうろしているとロラリーとばったり会ったそうだ。
 「ちょうど良かった。頼みたいことがあったんだ」
 パパはロラリーを部屋へ連れてきた。
 「リビングの電球二つと、ダブルベッドルームの電球と、メインバルコニーの電球が昨日から切れているんだ。替えはある?」
 そう、何故か四ヶ所も電球が切れていたのだ、ほとんどの部屋は複数の光源があるから何とか凌いでいたけど。
 ロラリーは早速替えの電球を持ってきて、パパと協力しながら取り替えていった。
 ところがバルコニーの電球のカバーがどうしても外れない。
 しばらくがちゃがちゃと背伸びしていじっていたが、やがてくるりと振り返って言った。
 「1分待っていて。グリースを取ってくるから」

 ところがグリースを塗りつけてもまだ外れないらしい。
 またしばらくがちゃがちゃと背伸びしていじっていたが、やがてくるりと振り返って再び言った。
 「1分待っていて。吹き付け剤を取ってくるから」

 ところが潤滑油のようなものを吹き付ける道具を使ってもまだ外れないらしい。
 彼女はまたまた言った。
 「1分待っていて」

 結局ロラリーが持ってきたものは、クリスマスに使うような立派なキャンドルだった。
 使い続けても1週間以上保ちそうな大きさの金粉を練り混んだ緑色のキャンドルと、その他に使い切りサイズの固形燃料みたいな白いキャンドルとそれを入れる花瓶みたいな硝子の苞。
 「悪いけどこれを使ってくれる?」
 電気が治らなかったのは何だが、こんな気遣いも嬉しい。



■上段左右と中段右 パパとロラリーが電球を取り替えている
■中段左 シロハラコウライウグイス・・・「さっきは恥ずかしいところ見られちゃったけど、本当はこんなに凛々しいんだからねっ」(と言ったかどうか知らないが)
■下段左 ロラリーが持ってきてくれたキャンドル二種
■下段右 おしりふりふりが可愛いヨコフリオウギビタキ



 彼女とパパがせっせと電球を交換している間も、私は鳥の声が聞こえる度にカメラを持って右往左往。
 さっき赤い実をついばんでいた小鳥がバルコニー正面の椰子にとまったので慌ててカメラを構えると、ロラリーが言った。
 「あれはグリーウィーよ(? そう聞こえた)。そんなに珍しい鳥じゃないわ。鳥だったらぜひコクトゥーを見てほしいわ。オーストラリアでもとっても綺麗な鳥よ」
 「ロリキート?」とパパ。
 「ううん、ロリキートじゃなくてコクトゥー」
 パパがこっそり私に聞く。
 「コクトゥーって何?」
 「オウムだよ。ロリキートより大きい」
 「小鳥が好きなの?」とロラリー。
 パパは私を指して「彼女は鳥が大好きなんだよ」と言ってさらに「カソワリーが見たいけどカソワリーはどこにいるの?」と聞いた。
 ロラリーはちょっと考え込んだ。
 私たちはジョンストンリバークロコダイルファームなど動物園のような場所では何度も見たことがあるが、野生のカソワリーはまだ見たことがない。
 一昨年のクロコダイルスポッティングツアーに参加するときも、パンフレットにはカソワリーの絵が描いてあったがロラリーはそれを隠して「ノー」と言っていたし、レーシークリークのウォーキングトラックに行くときもロラリーはわざわざ「カソワリーは出ないわよ」と言っていた。つまり期待しても可能性はゼロに等しいってことだ。
 「・・・そうだ、いい場所があるわ。ホライズンの庭に出るらしいの」
 「ホライズンってサウスミッションビーチの高級リゾートホテル?」
 「そう、あそこでカクテルを飲んでいると野生のカソワリーが見られるらしいわ。サンセットにあなたたちはカクテルを飲んで、チルドレンはプールで遊ばせておけばいいわ」
 「本当にカソワリーが出るの?」
 「本当ですとも」
 「エブリディ?」
 ロラリーは手の平を空に向けて肩をすくめた。



5-10ビーチとプールサイドでひがな一日へ続く


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