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ケアンズの南を目指せ **ビーチ&ファームステイ**

26.ノンスパークリング・ワイン




 海の空が暗くなり、一番星がきらめきはじめた。
 今日の夕御飯はバルコニーで食べよう。
 波音を聞きながらディナー・・・。
 プールから上がった子供たちはお風呂で温め、ワンピースを着せた。
 パンとサラダと、それからメインディッシュはアイカンダパークで食べきれず持ち帰ったハム。
 今朝、ディヴィッドにもらったスパークリングワインを開けることにした。
 カナが目敏く栓の形を指摘する。
 「あっ、それってぽんってなるやつでしょ」
 去年、ポートダグラスのリッジスで、今日と同じようにテラスで夕食にしたとき、ぽんっと開けたのを覚えていたのだ。
 ぐるぐるとねじってあるワイヤーを外し、指をかけて・・・
 子供たちは思わず目をつぶって耳を塞いだ。
 ・・・。 


リゾートの夕食はバルコニーで 椰子の木陰に星が瞬く(えっ、よく見えない?)
さあいよいよ本日のメインイベント!! スパークリングワインの蓋を飛ばします!! ドキドキ!!


 あれ?
 ぽんって言わない。
 パパが首をかしげた。
 変だなぁと、最初はおそるおそる、それから力いっぱい引っ張って、それでもなかなか栓は抜けない。
 やっと抜けた。
 気の抜けた音一つしなかった。
 うーん・・・。
 とくとくとく・・・とグラスに注ぐと、これまた謎の色。
 「赤? 白? それともロゼ?」
 何というか、濃い琥珀色の液体。
 臭いを嗅いで味見・・・いや、毒味か?
 これ、スパークリングワイン? というか、そもそもワイン?
 ワインとは思えないほど発酵が進んでいる。
 そう、紹興酒みたいなこくのありすぎる味わい。
 珍しい貴腐ワインだって言われたら信じると思う。
 でもディヴィッドはスパークリングだってはっきり言っていたし、何よりこの栓の形状は発泡ワインのそれに間違いない。
 パパと二人、顔を見合わせた。
 次の瞬間二人して大笑いしてしまった。
 昨夜客人の酒を飲み過ぎたからと、慌てて貯蔵庫か戸棚の奥からワインのボトルを探したシンディとディヴィッドの姿が目に浮かぶようだ。
 何年間、どういう状態で保存されていたスパークリングワインか判らないけど、お礼に一所懸命探してくれた気持ちがとても嬉しいじゃない。
 ありがとうありがとう。
 これは貴重な思い出のワイン。
 今夜も天空は満天星。
 ミラミラで見たあの怖いくらいの星空とは比較にならないけど、それでもミルキーウェイはくっきり、椰子の葉の間に流れている。
 聞こえるのは波の音だけだ・・・。




5-1.夜明けの海


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