ポートダグラス楽園日誌2004 1-0


0.旅立ち前のドキドキ


「レナ、オーストラリアで何が一番楽しみ?」
「レナはねぇ、気球に乗ること。気球で空を飛ぶことだよ」
「耳の付いたコアラの形の気球でしょ」
「違うよ。地球儀の形をしたやつ」

 六歳のカナと四歳のレナに前日、オーストラリアに行ったら気球に乗ると話をしたら、そのときはレナは「怖い怖い、乗りたくない」って言っていたのに、一晩寝たら気が変わったらしい。

 レナと違ってカナに聞くときはタイミングを選ばないといけない。彼女は妹のように素直には教えてくれないからだ。しつこく聞くと、オーストラリアに行かないなんて言い出す。
 本当に行きたくないわけじゃない。去年一番喜んでいたのはカナだし、また行きたい行きたいと言い続けて、一年間が過ぎた。
 今年、本当にオーストラリアを再訪することが決まって、パパはカナにこう言った。
「パパはカナとの約束を守ったでしょ」

「カナはオーストラリアで何が一番楽しみ?」
「あのね、あのね鳥さん・・・」
 消え入りそうな小さな声。
 カナは小鳥が大好きなのだ。飼っているわけじゃなく、公園やキャンプ場で見るだけだけど、他の動物よりとにかく鳥に興味を示す。学校の図書館から借りてくる本も野鳥の図鑑などだ。
 去年、オーストラリアを訪れて、色鮮やかなレインボーロリキートが肩に乗ったりカナのあげた餌を食べたり、愛嬌のあるオレンジフッテッド・スクラブフォウルが泊まっているリゾートの敷地をうろうろしているのを見て、もう毎日目を丸くしていた。
 オーストラリアに行けば、また鳥たちに会える。
 それにカンガルーに餌をあげたり、本物のカウボーイやカウガールが暴れ馬に乗る大会を見たり、帆船で珊瑚礁の海をクルーズしたり、移動遊園地で乗り物に乗ったりできるよ。

 出発までもうあと少しだね。



1-1.一足早い夏休みへ続く


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